厭世日記

不思議だったあの、精神科閉鎖病棟についてなんちゃって

担当医との面談

担当医は、その後しばらくしてから来た。
あなたのお父さんと面談しておりました、遅くなって申し訳ない、と私に軽く頭を下げた。
私はそのころになると涙も止まっており、ただぼうっと無表情で絶望しているのみだった。
時間は把握できなかったが、夜であったことを覚えている。

調子はどうですか?担当医は優しい口調で訪ねてくれた。後に渡っても常に優しく、患者である私のことを真剣に考えてくれる大変よい先生だ。今、私はこの先生のことをとても信頼している。

担当医は言った。「この二日間、寝る、食べる、ゆっくりする。その3つができていると判断したため、ホールへ出ることを許可します。」
これを聞いた時の私の顔は笑えるくらいのものだったと思う。それほどには衝撃だった。外に出られる、テレビのある部屋へ行ける。朝9時から夕方5時までという制限付きだったが、それでもかなりありがたかった。これで膝を抱えて1日過ごさなくてよいのだ。風の音以外が私の耳に入り、壁の模様以外が私の目に入るのだ。
うれしい。

明日からは少し変わる。しかしその少しは私にとって全てほどの価値があった。
変化のまったくない部屋で混乱と後悔と惨めさをたくさん噛み締めた。なにを考えてもそこにいきついて苦しかった、しかしそれ以外に許されたものはなかったのだ。
それに、そのことは当然だった。私は自殺未遂した畜生なのだ、畜生に外界の情報は与えられるはずはなかった。

しかし明日からは話ができる。
ホールにはテレビがあり、本があり、人がいる。

私は嬉しかった。
心の底から、「助かった」と、そう思った。

#自殺未遂 #厭世ガール