厭世日記

不思議だったあの、精神科閉鎖病棟についてなんちゃって

次の日

朝6時に起床の放送が入った。
6月14日の日曜日になっていた。起きて数分はぼうっとしていたが、やがて前日の事が滲むように思い出された。そうだ、私は自殺未遂をしてこの精神科の閉鎖病棟、隔離病室に入れられたのだ。敷いてあるマットを見て、改めて惨めな気持ちになった。

ないまぜになった気持ちを噛みしめていると、再び放送が入った。朝食の時間だ。なにを食べたかは思い出せないが、机がなく床に置いて食べたことを覚えている。惨めな気持ちが濃くなった。

私、なにしてるんだろう。

彼氏にフラれて、自殺未遂して、先輩に見つかって、親を呼ばれて、隔離病室に入れられた。私の意思ではない「医療保護入院」というやつだった。角どころか一切凹凸のない、ドアもない、窓もない、便器とマットと一本のペットボトルしかないこの部屋では、私は人間扱いはされないのだ。食事を床で済ませ、水も水道水を頼んでいれてもらうのだ。トイレはナースコールを数回押してようやく一回来てもらい、排泄物を確認された後に流してもらえるようだった。

辛かった。
しかし、当たり前のことでもあった。自殺未遂なんかした奴は人間以下の畜生である。飯をもらえるだけありがたいというものだ、だって私は畜生だからな。看護師の態度も医者の言うことも畜生に話しかけるには優しい口調であり、ナースコールも数回押せば来ていただけるのだ。なんと優しいと噛みしめるべきだろう。

私は自殺未遂をしたのだ。

それがどれほどのことか、いや、頭ではなにもわからない。しかし、これだけの扱いを受けるに当然のことなのだというのは痛いほど身にしみていた。

その日は日曜日で、担当医もおらず一日を隔離病室から出ることなく膝を抱えて過ごした。日に三回の食事は床で済ませた。

#自殺未遂 #厭世ガール